愛媛県歴史文化博物館 学芸員ブログ『研究室から』
資料・調査・おすすめ情報などを紹介。

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2012.10.26 Friday,
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高機(たかばた)を組み立てる
 愛媛県歴史文化博物館の秋の特別展、「佐田岬半島と西日本の裂織」展では、会期中、佐田岬裂織り保存会のご協力により、裂織りの製作実演も行われます。


 先日は、佐田岬裂織り保存会のメンバーの方が、実演用の高織(たかばた)を持ってきてくださいました。


「大きな高織がトラックに乗ってくるのかな〜」


とのんきに構えていたのですが、各部品に解体されてコンパクトに運ばれてきました。


 企画展示室に運び込まれ、メンバーの方が手早く組み立てていかれます。




足下の踏木(ふみぎ)の部分です。

少し角度を調整すると、すーっと部品が入っていきます。




組みあがりましたら、次はタテ糸です。

これはタテ糸が巻かれた千切(ちきり)という部分です。




筬(おさ)をはめたところです。

 高機を組み立てた後、タテ糸の張りなどを丁寧に調整します。

 そして当館職員も裂織りの織り方を教えていただきました。





はじめはおそるおそるでぎこちなかった手つきも、段々慣れてくるから面白いものです。あわせて、部品の役割や意味なども教えていただくことができました。

 この高機は期間中いつでもご覧いただくことができますが、11月には保存会のメンバーの方による裂織りの製作実演もございます。

  日時 11月24日(土)・25日(日)

     10:00〜12:00 13:00〜16:30

     佐田岬裂織り保存会による製作実演

*企画展観覧券が必要です

 

実際に製作されている方ならではの貴重なお話しもうかがうことができるかもしれません。 「織り」の仕組みを体感していただく貴重な機会ですので、ぜひご来館ください。



 また、今回の特別展は、関連講座も充実しております。


 まずは開幕してすぐ、展示担当学芸員による「佐田岬半島と西日本の裂織」をテーマにした講座がございます。


  日時 10月8日(月・祝) 13:30〜15:00


     今村 賢司(当館学芸員)「佐田岬半島と西日本の裂織」



  また、京都府立丹後郷土資料館で資料課長をつとめられ、裂き織りの研究者である井之本泰氏による講座も控えております。


 日時 10月21日(日) 13:30〜15:00


    井之本 泰氏(元京都府立丹後郷土資料館資料課長)


    「木綿再生−丹後の裂き織り−」



 特別展とあわせて、参加頂ければと思います。




2012.10.05 Friday,15:57
| rekihaku | 特別展おすすめ情報 | - | - |
裂織りクラブ作品展

段々と涼しい風が吹き始め、秋の気配が漂う日々です。


愛媛県歴史文化博物館の秋の特別展「佐田岬半島と西日本の裂織」展も、10月6日の開幕を控えて、急ピッチで作業を行っています。


布はタテ糸とヨコ糸を組み合わせて織り上げるものですが、裂織はヨコ糸に裂いた古い布を使用する技法です。裂織で織られた仕事着や着物は、使用地では「ツヅレ」や「オリコ」などと呼ばれています。


その裂織をテーマにした今回の展示では、関連イベントとして、友の会裂織りクラブの作品展をエントランスで開催いたします。


友の会では会員さんによるクラブ活動が行われており、裂織りクラブもその中の一つです。織機を前にし、針を片手に、おしゃべりをしながら、裂織を楽しんでおられます。


今日は月に2回の活動日でしたので、会員さんと相談しながら作品を展示していきました。手提げ袋にタペストリー、めがねケースにクッションカバー、袖なし半天の大作まで彩りあざやかな展示です。


「今の生活に使える裂織りがいいのよ」とおっしゃっていた言葉が印象的でした。



現在では、仕事着などの裂織の衣服を目にすることは少なくなりました。けれど、裂織クラブのように、裂織を生み出した先人に思いを馳せつつ、「今」の裂織の創作を楽しむ愛好家の方も増えています。


秋の特別展「佐田岬半島と西日本の裂織」展では、人々の生活を支えてきた日本各地の裂織を紹介しております。軽やかで現代的な裂織クラブの作品とあわせて見ていただくことで、裂織の奥深さを感じていただけることと思います。


特別展より一足お先に開幕しました「裂織りクラブ作品展」は、当館エントランス、総合案内横で、無料でご覧いただけます。



 

2012.10.03 Wednesday,15:52
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和紙彫塑による「弘法大師空海」の世界「密●空と海」

本日、新常設展和紙彫塑による「弘法大師空海」の世界「密●空と海―内海清美展」が開幕しました。

午前10時から中村時広愛媛県知事、三好幹二西予市長、和紙彫塑家の内海清美氏をはじめ多くの方々が列席されて開展式が行われました。

その後、開展式参列者の方々は、内海清美氏のご案内で新展示をご覧になりました。

迫力のある和紙人形群による弘法大師空海の生涯の表現。

大洲和紙や川之江の和紙など愛媛、四国の和紙を素材に作られた人形。

人形群を生き生きと照らす照明家・藤井輝夫氏による照明技術。

そして鶴田聖子氏による展示室内の空間アート音楽。

これらの総合的な芸術表現で、展示室全体がすばらしい舞台空間に演出されています。

弘法大師空海の生涯という「歴史」に興味のある方。

日本の伝統的な「和紙」に興味のある方。

などなど、さまざまな角度から堪能できる展示となっています。

作品との対話。空間での対話。

「和紙彫塑による『弘法大師空海』の世界 密●空と海―内海清美展」

ぜひ、この機会にご観覧ください。

観覧料は無料となっています。



2012.09.08 Saturday,09:49
| rekihaku | お知らせ | - | - |
宇和島運転区見学会

 8月25日(土)、現在開催中の特別展「GO GO TRAIN!」の関連講座として、四国旅客株式会社の協力を得て、「宇和島運転区見学会」を行ないました。子供から大人まで21名が参加しました。四国旅客鉄道株式会社には、4つの運転所と2つの運転区がありますが、宇和島運転区はそのうちの1つで、運転士や車掌が所属しています。今回の見学会では、近代化遺産である転車台と車庫を見学しました。


 転車台は、列車の向きを変える装置です。現在では列車の前後に運転台がついていますが、蒸気機関車の時代は前向きに運転台がついていたため、終点の駅で回転させる必要がありました。予土線では宇和島駅以外に転車台のある駅がなかったため、下りは蒸気機関車が後ろ向きで客車を引いていたそうです。キハ32に乗車し、回転を体験しました。また、倉庫の見学では、レールでできた柱などに、歴史を感じました。現在、宇和島市の和霊公園に展示されているC12もここに駐機していたそうです。普段はなかなか見ることのできない場所を体験・見学させていただき、多くの参加者が鉄道への興味・関心を一層高めていただいたようでした。


 特別展「GO GO TRAIN!」は、9月2日(日)までです。ぜひ、この機会にご来館下さい。




転車台に載ったキハ32





キハ32の回転をながめる子ども






転車台の装置を動かす子ども




車庫を見学する参加者



 

2012.08.26 Sunday,09:07
| hirai | 特別展おすすめ情報 | - | - |
博物館実習、始まりました。
博物館や美術館、動物園や水族館で働く専門的職員が「学芸員」です。学芸員の資格を取得するためには、博物館での実習が必要になります。今年度、愛媛県歴史文化博物館では、8月21日〜26日までの6日間、県内外より4名の実習生を受け入れております。


21日は、当館館長の励ましを受けた開講式を終え、まずは博物館の概要について説明を聞きます。その後、博物館の表の顔といえる、展示室ゾーンに加え、体でいうと「内蔵」にあたる収蔵庫ゾーンや保存処理室、燻蒸庫などを学芸員の解説を聞きながら見学しました。


収蔵庫ゾーンから企画展示室前へ続く扉を開けています。資料に負担を掛けず短い時間で運ぶことが可能です。



「博物館も人間と同じで、内臓がしっかりしていないと体が機能しません。だから資料の整理は大切なのです。」

という学芸員の言葉に、実習生も深くうなずきます。






午後は、歴史資料の資料整理を行いました。古文書の解読に一生懸命取り組みました。


大学の授業で古文書を読む機会がある実習生もいますが、実際の書物を前に、その紙の質感や墨の跡に触れることがなによりの経験になったようです。



実際の古文書に取り組む前に、古文書のコピーで練習です。



初日ということでまだまだ緊張はとれないようですが、せっかくの博物館実習ですので、たくさんの経験をして多くのものをつかんで大学に戻ってもらえたらと思っています。



2012.08.22 Wednesday,13:46
| diamond | れきはく・今日の出来事 | - | - |
1万人突破!

現在開催中の特別展「GO GO TRAIN!」の入館者が1万人を突破しました。御来館ありがとうございます。お盆は過ぎましたが、展示室の体験コーナーはまだまだ子どもたちに好評です。特に実際にハンドルを回して線路を走る「てトロ」や模型の列車が24平方メートルを走り回る「トレインワールド」は大人気です。26日(日)には当館のエントランスホールで「ミニSL乗車会」が開催されます。(対象4〜12歳、小学生以上は共通観覧券または特別展観覧券必要、11:00〜12:00  14:00〜15:00)


 また、伊予鉄道1号機関車を1/10で復元した模型、明治5年に新橋〜横浜間が開通した際に使用されたレールの文鎮、昭和47年に特急列車が四国に誕生した際の記念入場券、宇和島鉄道の試運転写真の絵馬、宇和島鉄道延長に関する設計図、懐かしい鉄道写真の数々など、鉄道ファンも必見です。本展の開催は9月2日(日)までです。ぜひこの機会をお見逃しなく。皆様の御来館をお待ちしています。




伊予鉄道1号機関車模型を見る子ども





記念入場券を見る子ども





「てトロ」に乗る子ども

2012.08.21 Tuesday,14:35
| hirai | 特別展おすすめ情報 | - | - |
ミニSL乗車会

8月12日(日)、お盆休みでたくさんの来館者でにぎわう中、松浦健氏によるミニSLの乗車会が行われました。長いエントランスホールを、子どもたちを乗せてミニSLが走りました。夏休みのいい思い出になったのではないでしょうか。


 

ミニSL乗車会は特別展「GO GO TRAIN !」の会期中、下記のとおり行いますので、たくさんのご参加お待ちしています。


日時:8月19日(日)、26日(日)
   11:00〜12:00
   14:00〜15:00
場所:エントランスホール
対象:幼稚園〜小学生(4歳〜12歳)
   小学生は特別展の観覧券が必要です。
   何度でもご乗車できますが、その都度最後尾にお並びください。

2012.08.16 Thursday,14:31
| inojun | 特別展おすすめ情報 | - | - |
鉄道模型運転会

 特別展「GO GO TRAIN!」の関連イベントの1つとして、「鉄道模型運転会」が博物館のエントランスホールで行われました。伊予鉄道株式会社鉄道クラブの皆さんによって、Nゲージ(線路幅9mm模型)を走行させました。 


 300形新幹線、500形新幹線などのほか、2000形しおかぜ、8000形しおかぜ等、愛媛に関係のある列車が勢揃い。伊予鉄株式会社創業125年にあわせ「おかげさまで125」と塗装された伊予鉄電車の模型もお目見えしました。実際に伊予鉄電車を運転したり、車掌をしたりしている方々が操作するので、電車の発車や、停車もスムーズ。子どもたちだけでなく、大人の方も見入っていました。


 このイベントは今月15日(水)まで。時間は10:00〜17:00です。料金は不要です。ぜひ、博物館にお越し下さい。




2012.08.13 Monday,14:28
| hirai | 特別展おすすめ情報 | - | - |
村上節太郎写真33 松山市駅を出る坊っちゃん列車 昭和28年



松山市駅を出発した坊っちゃん列車が、大きく右にカーブを曲がりながら中の川を渡っていく。踏切手前には白色のX型の踏切標識が見えるが、これは進駐軍用の踏切標識で、「RAILROAD CROSSING」の英文が記されていた。写真からも小さな機関車が貨物車やたくさんの客車を牽引していたことがよくわかるが、松山市駅を出てから立花駅までは石手川の土手に向かって坂になっており、老朽化した坊っちゃん列車にとっては難所となった。戦後の粗悪な石炭だったこともあり、パワー不足のため満員の重みに耐えかねて登れなくなり、乗客が途中で降ろされることもあったという。坊っちゃん列車は写真の翌年には運行を終了し、ディーゼル機関車に取って代わられた。村上節太郎はその前年に坊っちゃん列車の最後の輝きを記録するように何枚も写真撮影している。





写真は平成16年に撮影した現況写真。車両だけではなく、暗渠となった中の川を含めて周辺の景観が大きく変化していることがわかる。


松山市駅を出る坊っちゃん列車の写真は、愛媛県立図書館で開催中の共催展「坊っちゃん列車が走った街〜明治・大正・昭和〜」(〜8月26日)に現在展示中です。

2012.08.12 Sunday,14:26
| inojun | 館蔵資料紹介 | - | - |
村上節太郎写真32 別子鉱山鉄道 昭和10年




別子鉱山鉄道は、その名の通り、別子銅山の鉱石の輸送を目的につくられた鉄道で、明治26(1893)年に開業した。開業当初は一般の貨物や旅客を乗せない別子銅山専用の鉄道であったが、昭和に入ると鉄道沿線の人口も増え、鉄道利用を希望する声も高まってきたため、昭和4年に広く一般の貨物や旅客にも開放され、端出場−惣開が従来の専用鉄道から地方鉄道に切り替えられた。


村上節太郎の写真は、地方鉄道になってから6年後の昭和10(1935)年に山根駅付近で撮影されている。写真を見ると乗客が乗る客車と鉱石が載せられた貨車が混合して走っている様子がよく分かる。地方鉄道としての開業当初、運賃は端出場−惣開が20銭。惣開4時10分を始発として、終着21時45分まで上下19本もの貨客混合列車が運行、昭和5年のデータで旅客10万4000人、貨物68万トンを運んだという。


その後戦争をはさみ、戦後復興期を迎えるとバスなどの新しい交通機関が普及していき、通勤通学はバスや自転車へと次第に取って代わられた。そのため乗客が激減した別子鉱山鉄道は昭和30年に再び専用鉄道に戻り運行を続けたが、ついに昭和52年に84年の歴史に幕を下ろした。


※別子鉱山鉄道の写真は、特別展「GO GO TRAIN !」に現在展示中です。


参考文献
『愛媛県史』地誌供陛賤重貮堯烹隠坑牽固
藤本雅之「愛媛県における鉄道の変遷」(『愛媛県総合科学博物館研究報告』第2号、1997年)

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2012.08.09 Thursday,14:23
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